The warmness of Winter.

会える日を信じて一心不乱に咲こうとする球根。Warmness of winter.

今日は風もなく、計画通り、希望通りの撮影日和だった。
この2年間、庭で咲いてくれたチューリップがモデルのデザインには、
今年も咲いてくれる、一緒に春を迎えようっていう寄り添う想いがこもっている。

土の中で球根たちは手をとり、暗闇で春を待っているわけではない。
きっと冬の暗い土の中、それぞれが咲いて地上で笑おうって想い、
お互い会えるのを信じているからこそ、自分自身も芽吹くぞ、咲くぞって
ベストを尽くしているんだと感じる。

きっと相手も、私が春の陽の下で、笑顔で咲くのを待っている、信じている、
期待している...希望を抱いて出てくるに違いないから、私もっ! って。

私の人間関係もそう。
大切な人ほど土の中の球根たちのように、それぞれがベストを尽くしている。
お互いの近況は知らない。
会える日を、春を待つようにめざし全力でやり過ごす。
会えた時の喜びは、花が咲いたような感じ。

私のデザインが印刷された商品を見ているだけでは知る由もない。
それもまた、土の中のできごとと同じ。
一心不乱に咲こうとする姿をあからさまにお見せするのは下品でございます。
あくまでも夢をこわさないように、咲いた優雅なイメージをこわさないよう
土の中ではティータイムをしながら春を待っていますのよっていう感じに見せる。

どんなに華麗な花でも、土の中での球根時代は
泥まみれで必死に咲くことだけ、
太陽の中で咲いてお互いに会えることだけをめざし
一心不乱に違いない。

勿論、デザインしたこのチューリップは咲き誇り、
最後の最後まで美しく散っていった。
蝶々も華麗に飛んでいたけれど、今はいない。

こうやってデザインという目に見えるかたちで
私の糧となっている。

愛しい愛しい、あの時の君たち。
今年咲くこも、愛しい君になる。

寒い冬、愛のようにあたたかなのは
土のなか。